「退院は明日なのに、入院費が払えそうにない」
そんな状況で、このページを開いた方もいると思います。
医療事務を20年しています。窓口で「今日は払えません」と言われることは、正直めずらしくありません。
だから先に結論を書きます。払えないときは、退院の前に窓口で言ってください。それだけで、あとの流れがまったく変わります。
今日は「払えない」と言われたとき、窓口で実際に何が起きるのかを、私の勤務先での運用をもとに書きます。病院ごとに違う部分があるので、最後はかかっている病院で確認してくださいね。
入院費は、退院の日にまとめて請求されます
まず前提です。入院費は、退院の日にまとめて請求されます。
入院が月をまたぐと、月ごとに請求が来る病院もあります。いずれにしても、退院の日には精算があります。
ここを知らずに退院の日を迎えて、金額を見て固まる方がいます。我が家も長女の入院で、退院のときに10万円近くを払いました。
払えなくなる人に多いのは「保険がおりたら払います」
窓口で本当によく聞く言葉があります。「保険がおりたら払います」。
民間の医療保険は、退院してから申請して、そのあとに振り込まれます。入院費の請求のほうが、先に来るんです。この時間差で払えなくなる方が、いちばん多いと感じています。
保険に入っているから大丈夫、ではありません。保険金が入るまでのお金は、自分で用意しておく必要があります。ここが盲点です。
戻ってくるお金でも、いったんは払います
これは民間の保険だけの話ではありません。
高額療養費や、自治体の子ども医療費の助成も、あとから戻ってくるお金です。我が家が長女の入院で払った10万円近くも、その後に高額療養費と子ども医療の助成で戻ってきました。
でも、戻ってきたのは数か月あとです。退院の日には、いったん払っています。
「あとで戻る」と「今払える」は、別の問題です。戻ってくるお金をあてにするなら、それまでのつなぎのお金が要ります。
払えないとき、窓口では実際どうなるか
私の勤務先では、こうしています。
- 後日払い:その日に払えない場合、後日の支払いにできます。目安は次の受診日までです
- 分割払い:相談できます。回数に決まりはありません
- 相談する場所は会計の窓口(医事課)です。特別な窓口に行く必要はありません
「払えない」と正直に言ってくれれば、窓口は対応できます。いちばん困るのは、黙って帰られることなんです。
黙ったままにすると、どうなるか
逆に、払わないまま何も言わずにいると、流れはこうなります。
- 次の受診日を過ぎて数か月たつと、まず電話で確認の連絡が入ります
- それでも支払いがなければ、督促の手紙が届きます
- 何度かやり取りしても払われない場合、最終的には弁護士を通した手続きになることもあります
これは脅しではなく、事務の流れとして淡々と進んでいきます。だからこそ、その前に一言、相談してほしいんです。相談さえあれば、ここまで進むことはまずありません。
退院の前に、できることが2つあります
払えない事態を減らすために、事前にできることがあります。
- 限度額の適用:マイナ保険証なら、読み取り機で「同意する」を選ぶだけで、窓口の支払いが上限までになります。認定証の申請はいりません
- 入院費の見積もりは「限度額+食事代」で:限度額だけでは足りません。食事代や個室代は別に乗ります
限度額に含まれないものについては、限度額を出したのに請求が高い理由にくわしく書いています。制度そのものは高額療養費制度の記事を読んでみてください。
この2つを知っているだけで、退院の日の金額に驚くことは減ります。
よくある質問
後日払いの期限は、いつまでですか?
私の勤務先では、次の受診日までが目安です。それを過ぎて数か月たつと、確認の連絡が入ります。期限は病院によって違うので、後日払いをお願いするときに、いつまでかを聞いておくと安心です。
分割払いは、何回までできますか?
私の勤務先では、回数の決まりはありません。金額と事情を聞いたうえで相談しています。こちらも病院によって違うので、窓口で「分割は相談できますか」と聞いてみてください。
払えないと言ったら、退院できなくなりますか?
私の経験では、それで退院が止まることはありません。支払いの相談と退院は別の話です。だから安心して、先に言ってください。
まとめ|いちばん困るのは「黙っていること」です
入院費が払えないとき、やってはいけないのは黙っていることです。
- 退院の前に、会計の窓口で「払えない」と伝える
- 後日払い・分割払いは相談できる
- 保険金や助成金はあとから。それまでのお金は自分で用意しておく
窓口は、払えない人を責める場所ではありません。相談してもらえれば、いっしょに方法を考えられます。
入院のときは、体のことだけで手いっぱいです。お金の心配は、先に一言伝えて軽くしておいてくださいね。
