「がんは2人に1人がなる時代。がん保険くらい、入っておかないと不安……」
そんなふうに思っていませんか?
実は私も、ずっと同じでした。
「がんの治療はお金がかかる」と頭から思い込んでいて、入るべきか何度も悩んだんです。
でも先に結論を言うと、我が家は夫婦とも、がん保険に入っていません。
私は一度も入ったことがなく、夫は昔入っていましたが、解約しました。
医療事務として20年、病院の窓口でがん患者さんの会計と向き合ってきた私が、「がん治療費の現実」と「我が家ががん保険なしで備えている方法」を正直にお話しします。
※保険が必要かどうかは家庭によって違います。この記事は「我が家の答え」と、判断材料になる公的制度の話です。
窓口で20年見てきた「がん治療費の現実」
入院しても、支払いは「限度額」で止まっていた
がんの治療費そのものは、確かに高額です。
でも、日本の健康保険には「高額療養費制度」があります。
医療費の自己負担には月ごとの上限があって、収入によって細かく区分されています。
たとえば私と同じ区分(年収約370万円まで)なら月57,600円。年収約370万〜770万円の方でも、月8万円ちょっとが上限です。
窓口で20年働いてきて、入院された患者さんの支払いが、保険がきく治療でこの限度額を超えることはありませんでした。
「限度額適用認定証」(今はマイナ保険証でも同じことができます)を出せば、窓口で払う金額そのものが上限までになります。
高額療養費制度のくわしい仕組みは、こちらにまとめています。
→ 高額療養費制度を知っていますか?医療事務20年の私が窓口で見てきた「知らないと損」な話
今のがん治療は「入院より通院」が主流
これは現場にいて実感している変化ですが、いまは入院日数がどんどん短くなり、抗がん剤や放射線の治療も、外来に通いながら行うことが多くなりました。
通院だと、月々の医療費が高額療養費の限度額まで届かないことも多いんです。
「がん=長期入院で数百万円」というイメージは、少しずつ現実とズレてきています。
月々は大丈夫でも、年間では重い。だから「医療費控除」
ただ、正直な話もします。
月々の支払いは限度額以内でも、治療が続けば、年間の医療費はやっぱり重くなります。
そこで使えるのが「医療費控除」です。
1年間の医療費が原則10万円を超えた分は、確定申告をすると税金の一部が戻ってきます。通院の交通費も対象です。
ひとつだけ注意。医療費控除は年末調整ではできません。会社員の方も、この分だけは確定申告が必要です。
それでも「お金が大変」になりやすいのは、ここ
公的制度でカバーできない部分も、隠さず書いておきます。
- 差額ベッド代(個室などを希望した場合)
- ウィッグや通院の交通費などの雑費
- 先進医療を受ける場合の技術料(全額自己負担。ただし対象になる治療も受ける方も限られています)
そして実は、治療費より大きいのが「治療中の収入減」です。
会社員や公務員の方なら、働けない間は「傷病手当金」(給料の約3分の2・最長1年6か月)が受け取れます。
公的保障で何がどこまでカバーされるかは、こちらの記事にまとめています。
→ 家族構成別!本当に必要な保険は?医療事務20年の主婦が「公的保障」から解説
我が家は「がん保険の代わり」に、こう備えています
我が家の備えはシンプルです。
- 病気になっても10か月分の生活費をカバーできる貯金(生活防衛資金)
- 高額療養費制度と傷病手当金という、公的保障の理解
じつは夫は昔、保険会社に勤める知人にすすめられて、がん保険に入っていました。
でも、公的保障を学んでから見直して、解約。
「よく分からないまま、人にすすめられて入る」——我が家のドル建て保険と、まったく同じ構図でした。
→ 医療事務20年の私が「入らなくていい」と思う保険3つ|理由も正直に話します
いまは、浮いた保険料をそのまま貯金と積立に回しています。
がん保険が「あったほうがいい人」も、もちろんいます
ここまで読んで「じゃあ解約!」と焦らないでくださいね。
生命保険文化センターの調査(2022年度・生活保障に関する調査)では、40代女性の約半数ががん保険・がん特約に加入しています。それだけ、迷って入っている人が多いということ。
次のような場合は、がん保険の必要性が高くなります。
- 貯金がまだ少ない(生活費数か月分に届かない)
- 自営業・フリーランス(傷病手当金がない)
- 住宅ローンなどがあり、収入が止まるとすぐに家計が苦しい
こういう場合、掛け捨てで安く備えるのは十分アリだと思います。
大事なのは、「不安だから入る」ではなく「足りない分を計算して入る」ことです。
まとめ|公的保険を知れば、必要な保険は自ずと見えてくる
国立がん研究センターの統計では、日本人が生涯でがんと診断される確率は、たしかに「2人に1人」です。
でも、「2人に1人」という言葉だけで、慌てて保険に入らなくていいんです。
偉そうに書いてきましたが、私自身、ここまで理解するのにだいぶ時間がかかりました。
まずは、高額療養費制度を知ることから。
自分の家計の「もしも」にいくら足りないのかが分かれば、本当に必要な保険は、自ずと見えてきます。
あなたとご家族の毎日が、お金の不安に邪魔されませんように。
